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日本政策金融公庫の融資、審査に通る事業計画書の書き方とは?元銀行員が明かす5つのポイント

日本政策金融公庫からの融資を考えているけれど、肝心の事業計画書がうまく書けない。
何から手をつければいいのか、審査担当者はどこを見ているのか、不安で手が止まってしまう…。
多くの経営者様が、同じ悩みを抱えています。

はじめまして、資金調達コンサルタントの河合 圭介と申します。
私は以前、メガバンクで10年間、中小企業向けの融資審査を担当していました。
毎日たくさんの事業計画書に目を通し、多くの経営者様とお会いする中で、非常にもったいないと感じることがありました。

それは、素晴らしい事業内容や熱意をお持ちにもかかわらず、その魅力が事業計画書で十分に伝わらず、融資の機会を逃してしまっているケースです。

この記事は、過去の私のように「審査する側」の視点をふんだんに盛り込み、あなたの事業の魅力を最大限に引き出し、融資審査を突破するための具体的なノウハウを詰め込んだものです。
もう一人で悩む必要はありません。

この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って事業計画書を書き進められるようになっているはずです。
さあ、一緒に未来への扉を開く一枚を創り上げていきましょう。

なぜ事業計画書があなたの「未来」を左右するのか?

まず最初に、なぜこれほどまでに事業計画書が重要なのか、その本質からお話しさせてください。
単なる「提出書類」だと考えていると、思わぬところで足をすくわれてしまうかもしれません。

審査担当者は「数字」と「ストーリー」で返済能力を判断する

銀行員だった頃、私が審査で最も重視していたこと。
それは「この会社は、融資したお金をきちんと返済できるか?」という一点に尽きます。

そして、その返済能力を判断するために見るのが、事業計画書に書かれた「客観的な数字」と、その数字に至るまでの「納得感のあるストーリー」なのです。
どれだけ熱意を語られても、その裏付けとなる数字が曖昧では、私たちはGOサインを出すことができません。
逆に、数字だけが並んでいても、なぜこの事業をあなたがやるのかというストーリーがなければ、事業への本気度を測りかねます。

事業計画書は、この「数字」と「ストーリー」の両輪で、あなたの事業の将来性とあなたの経営者としての信頼性を審査担当者にプレゼンテーションするための、唯一にして最強のツールなのです。

民間銀行とは違う、日本政策金融公庫の役割とは?

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関です。
一般的な民間銀行が利益を追求するのに対し、公庫は中小企業や小規模事業者、そしてこれから事業を始める「創業者」を支えるという重要な役割を担っています。

そのため、実績がまだない創業期であっても、事業の将来性をしっかりと示すことができれば、民間銀行よりも積極的に融資を検討してくれる、創業者にとっては非常に心強い味方です。
しかし、「公庫だから審査が甘い」というわけでは決してありません。
国民の税金が原資となっているため、その審査はむしろ慎重かつ厳格に行われます。
だからこそ、しっかりとした事業計画書が不可欠となるのです。

事業計画書は、あなたの「熱意」と「覚悟」を伝える最初の対話

融資の申し込みは、担当者との面談から始まりますが、その前に、担当者はあなたの事業計画書を熟読しています。
つまり、あなたと担当者の最初の対話は、この事業計画書を通じて行われるのです。

丁寧に、具体的に、そして情熱を持って書かれた計画書は、それだけで「この経営者は本気だ」という覚悟の証明になります。
逆に、内容が薄く、誰でも書けるような計画書では、「この程度の準備で事業を始めるのか」と、あなたの事業への姿勢そのものを疑われかねません。

たった数枚の紙ですが、この一枚があなたの未来への投資を引き出すかどうかの分水嶺になる。
ぜひその意識を持って、読み進めていただければと思います。

【元銀行員が断言】融資審査を突破する事業計画書5つの必須ポイント

お待たせいたしました。
それでは、ここから具体的に、元銀行員である私が「これだけは絶対に外せない」と断言する、事業計画書の重要ポイントを5つに絞って解説していきます。
公庫の創業計画書のフォーマットに沿って説明しますので、ぜひお手元に準備してご覧ください。

ポイント1:創業の動機は「なぜ、あなたでなければならないか」を語る場所

多くの人が意外と軽視しがちな「創業の動機」欄。
ここは、単に事業を始めるきっかけを書く場所ではありません。
審査担当者に「この人なら、この事業を成功させられる」と確信させるための、最も重要なストーリーテリングの場なのです。

過去の経験(斯業経験)と事業を結びつける

審査担当者が最も知りたいのは、「あなたが、なぜその事業を選ぶのか」という必然性です。
これまで培ってきた経験やスキル、人脈が、これから始める事業にどう活かされるのか。
この繋がりが強ければ強いほど、計画の説得力は飛躍的に高まります。
これを専門用語で「斯業経験(しぎょうけいけん)」と言い、審査における非常に重要な評価項目です。

NG例:「儲かりそうだから」→ OK例:「前職の経験で得た〇〇という課題を解決したい」

ありがちなNG例は、「カフェが流行っているから」「IT業界は将来性があるから」といった、誰でも言えるような動機です。
これでは、あなたの「覚悟」は伝わりません。

そうではなく、あなた自身の言葉で、具体的なエピソードを交えて語ることが大切です。

【OK例:カフェ開業の場合】
「私はこれまで10年間、〇〇(企業名)でバリスタとして勤務し、店舗運営のノウハウを学んでまいりました。その中で、地域のお客様から『子連れでも気兼ねなくゆっくり過ごせるカフェがほしい』という声を数多く耳にしました。この経験から、ただコーヒーを提供するだけでなく、キッズスペースを併設し、地元の野菜を使った身体に優しいランチを提供するなど、地域の子育て世代の憩いの場となるカフェを開業したいと強く思うようになりました。」

このように、自身の経験と社会的なニーズを結びつけることで、単なる思いつきではない、地に足のついた事業動機であることをアピールできます。

審査担当者はここに「事業への本気度」を見ている

私たちはこの「創業の動機」から、経営者の事業に対する本気度や、困難に直面した時に乗り越えられるだけの情熱があるかを読み取ろうとします。
ここはテンプレートをなぞるのではなく、あなた自身の言葉で、熱く、そしてロジカルに語ってください。

ポイント2:売上計画は「希望」ではなく「根拠ある予測」で示す

事業計画書の中で、最も客観性と具体性が求められるのが「売上計画」です。
「これくらい売りたい」という希望的観測を書いてしまう方が非常に多いのですが、それは計画ではなく、ただの「夢」です。
担当者を納得させるのは、一つひとつ積み上げた、根拠のある数字だけです。

絶対にやってはいけない「どんぶり勘定」の売上計画

「月商100万円くらいはいくと思う」「頑張って売上200万円を目指します」
銀行員時代、このような計画書を本当に数多く見てきました。
これでは、「なぜ100万円なのですか?」という最初の質問にすら答えることができません。
必ず、具体的な計算根拠を示してください。

売上予測の基本公式:「客単価 × 席数(顧客数) × 回転数(頻度) × 営業日数」

例えば、飲食店の場合、以下のような計算式で売上の根拠を示すのが基本です。

【計算例:15坪・20席のカフェ】

  • 平日ランチタイム(11:00-14:00)
    • 客単価1,200円 × 20席 × 稼働率70% × 1.5回転 × 22日 = 554,400円
  • 平日カフェタイム(14:00-18:00)
    • 客単価800円 × 20席 × 稼働率30% × 2.0回転 × 22日 = 211,200円
  • 土日(11:00-18:00)
    • 客単価1,500円 × 20席 × 稼働率80% × 2.5回転 × 8日 = 480,000円

→ 月間売上合計:1,245,600円

いかがでしょうか。
このように分解して示すことで、「なぜこの売上になるのか」が一目瞭然になります。
稼働率や回転数は、最初は低めに見積もるのが堅実です。
楽観的すぎる数字は、逆に計画性のなさを露呈してしまいます。

地域の市場調査や競合分析を加え、計画のリアリティを高める

さらに説得力を増すために、なぜその「客単価」や「稼働率」が妥当なのか、周辺の競合店の価格帯や、地域の人口、ターゲット層のライフスタイルなどを調査した結果を補足できると完璧です。
「近隣の競合店Aは客単価約1,300円、B店は約1,100円なので、当店では1,200円と設定しました」といった説明があれば、担当者も納得せざるを得ません。

ポイント3:資金計画は「何に・いくら必要か」を1円単位で明確にする

融資を申し込むのですから、「借りたお金を何に使うのか(資金使途)」を明確にすることは当然の義務です。
ここが曖昧だと、「計画的に事業を運営できない人かもしれない」という不信感に繋がります。

「設備資金」と「運転資金」の違いを正しく理解する

必要な資金は、大きく分けて2種類あります。

  1. 設備資金:事業を始めるために「最初だけ」かかるお金。
    • 例:店舗の保証金、内外装工事費、厨房機器、PC、車両など。
  2. 運転資金:事業を継続していくために「毎月」かかるお金。
    • 例:商品の仕入代金、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費など。

この2つをきちんと区別し、それぞれ何にいくら必要なのかを詳細に書き出してください。

見積書は必須!金額の妥当性を客観的に証明する

特に高額な「設備資金」については、必ず業者から取得した見積書を添付してください。
あなたの自己判断で「内外装工事に300万円くらいかな」と書くだけでは、全く信頼性がありません。
複数の業者から相見積もりを取っていれば、コスト意識の高さもアピールできます。
見積書は、あなたの希望金額が「妥当」であることを証明する、何よりの証拠になります。

自己資金の重要性 – コツコツ貯めたお金が最大の信用になる

公庫の融資では、自己資金が非常に重要視されます。
融資希望額に対して、どれくらいの自己資金を準備できているか、その割合が見られています。
目安として、創業資金総額の3分の1から、少なくとも10分の1程度は準備しておきたいところです。

そして、もっと重要なのが「どうやってそのお金を貯めたか」というプロセスです。
例えば、毎月5万円ずつ、3年間にわたってコツコツ貯めてきた通帳のコピーを提出すれば、それは計画性の高さを証明する最高の信用資料になります。
親から一時的に借りた「見せ金」は、すぐに見抜かれてしまうので絶対にやめましょう。

ポイント4:収支・返済計画で「利益から返済できる」ことを証明する

売上計画と資金計画が固まったら、いよいよ事業全体の収支計画、そして返済計画を立てます。
ここは、融資担当者が最も気にするところです。
「この事業で得た利益の中から、毎月きちんと返済を続けていけるのか?」という最大の疑問に、数字で明確に答えを示しましょう。

売上から経費を引いて、手元にいくら残るのか(利益計画)

まず、先ほど算出した売上から、運転資金で計算した毎月の経費を差し引きます。

【収支計画の例】

  • 売上高:1,245,600円
  • 売上原価(仕入費など):373,680円(原価率30%と仮定)
  • 販売管理費(家賃・人件費・光熱費など):650,000円

→ 営業利益:221,920円

この営業利益が、あなたの手元に残るお金の基本となります。

その利益から、毎月きちんと返済できるかを示す

次に、この利益から借入の返済と、あなた自身の生活費(役員報酬)を支払っても、まだお金が残ることを示します。

【返済計画の例】

  • 営業利益:221,920円
  • 借入返済額(元金+利息):月々50,000円(※仮の金額)
  • 生活費(役員報酬):月々150,000円

→ 残額:21,920円

このように、全ての支払いを終えても会社にお金が残る(=黒字になる)ことを示せれば、担当者は「この計画なら返済可能だ」と判断しやすくなります。
返済額や生活費は、無理のない現実的な金額を設定することが大切です。

担当者の「本当に返せるの?」という最大の懸念を払拭する

収支計画は、事業が軌道に乗るまでの期間(創業当初)と、軌道に乗った後で分けて作成するのが一般的です。
最初は赤字になることも想定されますが、その赤字を運転資金でどう補填し、何か月後に黒字転換するのか、その道筋を明確に示すことが、担当者の安心に繋がります。

ポイント5:あなたの「人柄」と「事業の魅力」を伝える補足資料

事業計画書のフォーマットだけでは伝えきれない、あなたの魅力や事業の独自性をアピールするために、補足資料を積極的に活用しましょう。
必須ではありませんが、これがあるかないかで、担当者に与える印象は大きく変わります。

経歴を裏付ける職務経歴書や資格証明書

創業動機で語ったあなたの経験やスキルを客観的に証明するために、詳細な職務経歴書や、事業に関連する資格(調理師免許、簿記など)のコピーを添付すると、信頼性が格段にアップします。

商品・サービスの魅力が伝わる写真やパンフレット

例えば、あなたが提供する料理の写真、デザイン性の高い店舗のイメージパース、独自開発した商品の試作品の写真など、ビジュアルで訴えかける資料は非常に有効です。
文字だけでは伝わらない魅力を、一瞬で伝える力があります。

事業の独自性や優位性を示す資料を添付して熱意を伝える

地域の市場調査データや、競合と比較した際の自社の強みをまとめた分析表なども素晴らしい補足資料になります。
「ここまでしっかり準備しているのか」という驚きは、あなたへの評価を大きく高めるはずです。
これらの資料は、あなたの事業に対する熱意の表れに他なりません。

【審査の裏側】元銀行員が見てきた事業計画書の残念な失敗例

ここでは少し視点を変えて、私が銀行員時代に「これは厳しいな…」と感じた事業計画書の典型的な失敗例を3つご紹介します。
他人の失敗から学ぶことで、あなたの計画書をさらに磨き上げてください。

失敗例1:誤字脱字、計算ミスだらけの計画書

信じられないかもしれませんが、誤字脱字が多い、あるいは基本的な計算が合っていない計画書は意外なほど多いです。
これらは内容以前の問題で、「細部への注意力が欠けている」「事業運営も雑なのではないか」という、経営者としての資質そのものを疑われてしまいます。
提出前には、必ず第三者にチェックしてもらうなど、細心の注意を払いましょう。

失敗例2:専門用語ばかりで事業内容が全く伝わらない

ITや専門技術系の事業に多いのがこのケースです。
その業界では当たり前の専門用語や横文字を多用した結果、金融の専門家である審査担当者には事業の魅力や仕組みが全く伝わらないのです。
「中学生が読んでも分かる」くらいの平易な言葉で説明することを心がけてください。
分かりやすく説明できる能力も、経営者の重要なスキルの一つです。

失敗例3:資金使途が「運転資金一式」などと曖昧すぎる

必要な資金の項目で、「運転資金 300万円」とだけ書かれているケース。
これでは、300万円の内訳が全く分かりません。
「何に、いくら、なぜ必要なのか」を一つひとつ具体的に示すのが鉄則です。
曖昧な記述は、資金管理能力の欠如と見なされても仕方ありません。

万が一、審査に落ちてしまったら?次に繋げるための3ステップ

万全の準備をしても、残念ながら審査に通らないこともあります。
しかし、そこで事業を諦める必要は全くありません。
重要なのは、その結果を次にどう繋げるかです。

ステップ1:まずは冷静に原因を分析する

なぜ審査に通らなかったのか、その原因を冷静に分析することが第一歩です。
公庫の担当者に直接理由を尋ねても、明確な回答は得られないことが多いですが、それでもヒントはもらえるかもしれません。
自己資金が足りなかったのか、事業計画の具体性が欠けていたのか、信用情報に問題があったのか。
客観的に見つめ直しましょう。

ステップ2:事業計画を磨き上げ、再申請に備える(最低6ヶ月はあける)

原因が特定できたら、その弱点を克服するために事業計画を徹底的に磨き直します。
売上計画の根拠をより強固にしたり、自己資金をさらに貯めたりといった対策を講じましょう。
一般的に、一度審査に落ちると、すぐに再申請しても結果は変わりません。
最低でも6ヶ月間は期間をあけ、事業計画が改善されたことを明確に示せるようになってから、再度チャレンジするのが定石です。

ステップ3:公庫だけではない!ファクタリングなど他の選択肢も視野に入れる

公庫の融資はあくまで選択肢の一つです。
すぐに資金が必要な場合や、融資とは違う形で資金を調達したい場合には、他の方法も検討する価値があります。

例えば、「ファクタリング」という手法があります。
これは、あなたが既に持っている売掛金(取引先から将来入金される予定のお金)を専門の会社に買い取ってもらうことで、入金日よりも早く資金化できるサービスです。
融資ではないため、信用情報に影響がなく、最短即日で資金調達が可能な場合もあります。

事業の状況によっては、公庫の再申請を待つよりも、ファクタリングで当座の資金を確保し、事業を前進させる方が得策なケースも少なくありません。

まとめ

今回は、元銀行員の視点から、日本政策金融公庫の融資審査に通るための事業計画書の書き方について、5つの重要ポイントを軸に解説してきました。

最後にもう一度、重要なポイントを振り返りましょう。

  1. 創業の動機:あなたの経験と事業を結びつけ、「なぜ、あなたか」を語る。
  2. 売上計画:希望ではなく、「客単価×客数×頻度×日数」など根拠ある数字を示す。
  3. 資金計画:「何に・いくら必要か」を明確にし、見積書で妥当性を証明する。
  4. 収支・返済計画:「利益から返済できる」ことを数字で明確に証明する。
  5. 補足資料:写真や経歴書で、あなたの熱意と事業の魅力を伝える。

事業計画書を作成する作業は、決して楽な道のりではないかもしれません。
しかし、このプロセスは、融資を受けるためだけのものではありません。
あなたの事業の課題や強みを客観的に見つめ直し、成功の確率を飛躍的に高めるための「事業の羅針盤」を手に入れる作業でもあるのです。

もし、一人で書き進める中で壁にぶつかったり、専門家の客観的な意見がほしくなったりした際には、どうか一人で抱え込まないでください。
私のような資金調達の専門家に相談することも、未来への有効な投資です。

この記事が、あなたの夢の実現に向けた、力強い第一歩となることを心から願っています。
あなたの挑戦を、応援しています。